FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第32回】
【第32回】2016年分の贈与期限まで残り1ヶ月!〜効果的な贈与を検討する〜
2016年11月17日
FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第32回目のコラムは、贈与に関するお話です。
過去最高を更新した生前贈与
贈与は相続税の軽減対策として効果的であるため、相続税増税の議論が開始され始めた2009年頃から贈与を行う方は年々増加しています。2015年分の贈与税の申告書を提出された方の人数は過去最高を更新し53万9千人となりました。
時間をかけて贈与を行っていくことが相続税の軽減につながる、ということは理解していながらも、毎年手続きを行うことへの負担から贈与に踏み切れない方もいらっしゃることと思います。
毎年贈与を行うことによる税務上の問題
贈与税を計算する際には110万円の基礎控除があるため、毎年の贈与金額を110万円以内にすると贈与税は課税されません。しかしながら、例えば、毎年100万円を10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約されている場合には、契約をした年に、今後10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利の贈与を受けたものとして贈与税が課税されることになっています。つまり、毎年の贈与とするためには、その都度、贈与者と受贈者の間で契約し、実際に履行する必要があるわけです。
生存給付金付特別終身保険の利用を検討する
『生存給付金付特別終身保険』という商品があります。たとえば、契約者・被保険者を親、生存給付金受取人をお子様として契約した場合、生存給付金支払期間中の毎年の保険年度満了時に親が生存していれば生存給付金が支払われることが確定し、その都度、親があらかじめ指定した受取人であるお子様に生存給付金が支払われる仕組みです。生存給付金が支払われた際には、親からお子様に対する贈与があったものとして贈与税の課税対象となります。
本商品は、契約後に生存給付金の受取人を変更することがなければ、契約時の手続きのみで継続した贈与を行うことが可能※になってくるわけですが、生存給付金が支払われるのは、あくまでも被保険者である親が生存している期間中に限られてくることや、受取人の変更も支払われる都度可能であることから、毎年、生存給付金支払事由の発生により贈与があったものとされます。したがって、本商品を利用することで、贈与契約書の作成の手間は省かれるうえ毎年贈与を行うことによる税務上の問題も解消されます。
- ※生存給付金受取人については、2回目以降の生存給付金のお受取りも毎回(毎年)請求手続きが必要となります。
効果的な贈与金額を検討する
贈与金額を110万円に抑えた贈与を行うのもひとつの方法です。しかしながら、保有されている財産額によっては110万円ずつ贈与してもあまり相続税の軽減につながらないことがあります。贈与金額を決める際には、贈与税の基礎控除額である110万円に拘らずに、保有されている財産額や贈与可能な年数、贈与する人数を考慮して決めることをおすすめします。
2016年分として贈与税を計算できるのは12月中の贈与までです
年末が近づき、2016年分として贈与税を計算できる期限も差し迫ってきました。今年まだ贈与を行っていない方については、相続税軽減対策も含めた贈与について、お早目に検討されることをおすすめします。
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