FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第34回】

【第34回】相続対策としても注目される“養子縁組”

2017年1月26日

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第34回目のコラムは、相続対策にまつわる養子縁組のお話です。

基礎控除額引き下げの影響は?

昨年末、 国税庁より2015年分の相続税申告状況が公表されました。それによりますと2015年に亡くなられた方約129万人のうち、相続税の課税対象となった方は約10万3千人(8%)でした。前年の2014年における課税対象者が約5万6千人(4.4%)であったことと比較すると、課税対象者数は1.84倍に急増したことがわかります。これは、2015年から実施された相続税の課税強化による影響です。相続税の課税強化を背景として、近年、相続税対策への関心が一段と高まってきています。

相続対策としての養子縁組について

相続対策には様々な方法がありますが、対策のひとつに「養子縁組」を行うという方法があります。養子縁組を行い相続人が増えると、基礎控除額(非課税枠)、生命保険金の非課税枠、退職手当金の非課税枠が増えるだけでなく、法定相続人ごとに低い税率を適用できるケースもあるというメリットがあります。また、孫を養子にした場合には、相続を一代飛ばせるというメリットがあります。

養子縁組の人数に制限はありませんが、無制限に認めると税逃れにつながる可能性があるため、相続税を計算するうえでは、実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までを法定相続人の数に含めて各種非課税枠等を計算するという制限が設けられています。

養子縁組には様々なメリットがある反面、デメリットも多いので注意をする必要があります。例えば、養子は実子と同等の相続権を持つ相続人となるため、実子と養子それぞれが相続財産をめぐって権利を主張し、トラブルになりやすいという点です。争いが長期化して、申告期限までに分割が調わない場合には、「配偶者の税額軽減特例」や「小規模宅地等の特例」といった相続税の軽減特例を利用することができなくなり、養子縁組による軽減効果を上回るマイナス効果が発生してしまうことがあります。また、孫養子や曾孫養子が支払う相続税は、2割増しで支払わなくてはならないというデメリットもあります。

養子縁組を行う上でのポイント

養子縁組を一度行うと、その後の解消は当事者同士の合意が必要で、合意できなければ家庭裁判所に離縁調停を申し立て、それでもまとまらない場合には離縁訴訟を提起することになり、容易ではありません。したがって、相続対策として養子縁組を検討する場合には、まずは生前贈与や生命保険の活用等、簡単に始められる対策から検討を行い、そのうえで養子縁組によるメリット、デメリットを十分に理解し、試算を行ったうえで慎重に検討していく必要があります。

相続人等の関係者への心情に配慮することは必要不可欠です。なお、相続税対策のみを目的としての養子縁組や、他の相続人の相続分ないし遺留分の割合を減少させることを目的とした養子縁組は、否認のリスクや訴訟問題に発展するリスクがありますので、専門家によく相談したうえで実施する必要があります。

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