FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第3回】

【第3回】遺言書にはご家族へのメッセージ“付言事項”をのこしましょう!

2014年6月26日

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしてまいります。第3回目のコラムは、遺言書に追記する“付言事項”についてのお話です。

相続でわだかまりを残さないために

遺産分割トラブルは年々増加しています。第1回のコラムでもお伝えしましたが、平成24年に家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割争いに関する調停や審判の数は過去最高の1万5,286件となっています。しかし、実際はこの統計数字に現れていないケースもあります。例えば弁護士や第三者を介して争いを解決したようなケースや、相続人間でいがみ合いながら解決したようなケースもあるかと思います。また、遺言をのこしたとしても遺言の内容に相続人が納得しなければわだかまりがのこることもあります。このようなケースも遺産分割トラブルの一つと言えるのではないでしょうか。

そこで、今回のコラムでは、遺言書による分割に関するトラブルや相続人間のわだかまりを少しでもやわらげる方法として、遺言書に“付言事項(ふげんじこう)”をのこすことについてご紹介いたします。

遺言書に記載する付言事項とは

付言事項は、遺言書の最後に補足的に記載されることが多いもので、法的な効力はありませんが、のこされたご家族に対して最後に伝えたいことや感謝の気持ちや、遺言の内容(財産の配分)等について何故このような内容にしたのかその理由等を任意で書くことができるものです。付言事項として書ける内容は特に決まっていませんが、公序良俗に反しない限り自由にしたためることができます。

付言事項の効力

通常、遺言は財産の分け方が中心になってしまうものです。しかし、分割し難い財産(不動産や自社株式等)を分ける場合、相続人間で多い、少ない、など差が生じてしまうことがあります。また、ご家族それぞれのことを思って財産の配分に十分考慮したつもりでも、もらう側のご家族が必ずしも遺言者の期待通りに受け止めてくれるとも限りません。このように、遺言で財産の配分だけを指定しても、遺言者の真意が十分に伝わらないこともあり、ご家族の誤解を招いたり、疑心暗鬼になってしまうかもしれません。そこで、遺言書に何故このような配分になったのか、その理由や真意をご自身の言葉で伝えたり、配分が少なかった方に対しても感謝の気持ちやいろんな想いを伝えることで、誤解を解消できますし、納得いかない気持ちをなだめることにつながるかもしれません。

その他、葬儀や法要、埋葬等の行い方等についてご自身の希望を付言事項としてのこしておくことができます。ただし、法的な強制力はありませんので、その実現についてはご家族に任せるしかありませんが、その意思が尊重されることが期待できます。

付言の記載例

それでは、具体的にどのような付言事項をのこしたらいいか、事例をご紹介します。
「花子、太郎、2人のおかげで幸せな人生を送ることができました。ありがとうございました。兄弟2人仲良く相続してくれると信じていますが、花子のことが心配で、このような遺言を書くことにしました。太郎にとっては、少ない財産分けとなりましたが、自宅の購入資金や孫(次郎)への贈与などをしていることを含めて理解してください。」

この例では、娘の花子さんが息子太郎さんより多めに財産を相続する理由が記載されています。太郎さんに財産配分について理解してもらうためにこのような付言事項をのこされたという事例です。

最後に

遺言書の最後に追記する付言事項は、のこされたご家族への最後のメッセージです。
遺言書にご自身の言葉でしか書くことができない想いのこもったメッセージをのこされてみてはいかがでしょうか。

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