FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第4回】

【第4回】遺産分割の内容により相続税額は変わります!

2014年7月17日

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第4回目のコラムは、相続税と遺産分割の関係性についてのお話です。

相続税の改正

相続税は平成27年1月1日から改正されることが決まっています。改正されると、相続税を計算する際の非課税枠である基礎控除が現行より40%引き下げられ、さらに税率構造も見直されることになりますので、ほとんどのケースで増税となります。そのため、相続対策の中でも相続税対策につきましては、今まで以上に重要であり、注目されております。なお、当社ウェブサイトでは、概算相続税額をご確認いただける『相続税額試算サービス』を掲載しておりますので、相続税対策をご検討いただく際に、ぜひご利用いただければと思います。

相続の回数

さて、ご家族形態として、ご夫婦とお子様がいらっしゃるというケースが多いのではないかと思います。この場合、ご夫婦のどちらか一方の方に相続が発生すると、財産は一部が配偶者に、一部がお子様に引き継がれることになります。これを一次相続といいます。そして、次にその配偶者に相続が発生すると、財産はすべてお子様に引き継がれることになります。これを二次相続といいます。

つまり、ご夫婦の財産がすべてお子様に引き継がれるまでには、一般的に2回の相続を経ることになり、当然相続税も2回関係してくることになるわけです。そこで、相続税対策を検討する際には、一次相続時と二次相続時の2回分の相続税額を合わせて考えることが重要です。

配偶者が引き継ぐ財産について

ところで、配偶者が財産を引き継ぐ場合には、『配偶者の税額軽減特例』があります。これは、配偶者は財産形成に少なからず貢献していることや、その後の生活保障という意味合いから、配偶者が引き継ぐ財産については一定額まで相続税を課税しないという特例です。

具体的には、配偶者が引き継ぐ財産額が1億6,000万円まで(1億6,000万円を超えた場合には法定相続分まで)は配偶者に相続税は課税されません。したがって、一次相続時には『配偶者の税額軽減特例』を最大に適用できる金額を配偶者が引き継ぐことで、一次相続時の相続税は少なくすみます。

ところが、一次相続時に配偶者が引き継ぐ財産額が多くなるということは、その分二次相続時の財産額が多くなることにつながり、お子様が支払うことになる相続税額も多くなってしまいます。つまり、一次相続時と二次相続時の合計税額は、一次相続時の財産の分け方次第で多くも少なくもなるということです。したがって、一次相続時の財産分けは相続税対策としても非常に重要となってくるわけです。

二次相続も考慮した遺言の準備

相続が発生すると、相続人は様々な手続きに追われることにもなります。そういった中で、相続人の方々は遺産分割に関する話し合いを行うことになるわけですが、現実として、相続人間の話し合いの中で、二次相続時の相続税までを考慮して分割することは、難しいことなのではないかと思います。第1回目のコラムでもご紹介させていただいたように、現実的に遺産分割に関する争いは近年増加傾向にあります。

そこで重要となるのが、生前から財産を遺す方が、あらかじめ二次相続時も想定した遺言を作成されることなのではないでしょうか。遺言があれば、遺産分割の必要はありませんので、相続人の手間は軽減されることになります。そして、その遺言の内容が二次相続時も想定されたものであれば、引き継いだ財産を大切に思う気持ちも一層強まるのではないかと思います。

最後に

当たり前のことですが、二次相続時の相続税額を考慮し、一次相続時におけるお子様への財産配分を多くするということは、配偶者が引き継ぐ財産がその分減少することになります。そうなると、遺された配偶者のその後の生活を不安にさせてしまう可能性もあるわけです。したがって、遺言の内容を決める際には、相続税のことばかりでなく、ご家族の状況も考慮しつつ、慎重に内容を決めることが大切です。

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