FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第17回】
【第17回】戸籍はどこ? 頻繁に転籍した人の相続手続きは大変です
2015年8月27日
FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第17回目のコラムは、戸籍の転籍と相続手続きのお話です。
相続手続きには戸籍謄本が必要です
相続手続きでは、殆どのケースで「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」が必要になります。しかし戸籍謄本は近所の役所ではなく、本籍地の役所に発行の請求をしなければ手に入れることができません。日常生活では、「転籍」をして近くの役所に本籍を移すこともあるでしょう。引越しと同時に本籍地も移すことで、手軽に最新の戸籍を手に入れることができるようになります。しかし、ここで気を付けなければならないのが、戸籍謄本は転籍等によって本籍地となる役所が変わると、その度に新しく作り直されるということです。そして作り直される度に、転籍前の戸籍に記載されていた情報の一部は記載されなくなってしまうのです。
例えば、婚姻により除籍された子は転籍後の戸籍謄本には記載されません。離婚歴も転籍後の戸籍には記載されません。最新の戸籍謄本だけを見ても相続人を確定する事ができないのは、このためです。被相続人が転籍を頻繁に行っていると、場合によっては10ヶ所以上の役所から戸籍を取り寄せて相続人を確認しなければなりません。相続手続きという観点からは、頻繁に転籍を行ってしまうと必要な戸籍謄本の数が増え、金融機関での手続きや登記の際の負担が大きくなってしまうのです。
転籍の回数だけ必要な戸籍謄本が膨大に
たとえば「出生→結婚→転居(転籍)→現在」という経歴の人が相続手続きで必要となる戸籍謄本を考えてみましょう。まず、その人は出生時に親の戸籍に入ります。その後、結婚をした時に親の戸籍からは除籍され、配偶者と新しい戸籍を作ります。そして転居に伴う転籍で本籍地を移した時にまた戸籍が作り直されます。その後は戸籍が作り直されなかったとすると、その人に相続が発生した時、少なくとも3通の戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
3通と聞くと「それだけでいいのか」と思うかもしれませんが、戸籍謄本は本籍地の役所でしか請求することができませんので、近くの役所で請求することができるとは限りません。また、どこから転籍してきたのかは転籍直後の戸籍謄本にしか記載されませんので、1通ずつ確認しなければどこに転籍前の戸籍謄本を請求したらよいのかもわかりません。
事前の対策で相続人の負担を小さくすることが可能です
転籍の数だけ取寄せる戸籍謄本が多くなり、相続人にとっては相当の負担となります。また戸籍謄本が揃わないと金融機関の資金を引き出せず、金銭的な負担も生じます。しかし事前に対策を行うことで、それらの負担を軽減してあげることはできます。
一例として、相続人を受取人にした生命保険契約があります。相続発生直後は葬儀や医療費の支払い等、まとまった資金が必要になりますが、原則として被相続人の財産は凍結されるため、手をつけることができません。しかし、生命保険はあらかじめ受取人が指定されていますので、相続人全員を確認するためにあちこちから戸籍謄本を取り寄せなくても、保険金を受け取ることができます。相続手続き自体を簡略化できるわけではありませんが、まとまった資金が必要な相続発生直後に簡便な手続きで現金を用意できますので、相続人の金銭的な負担を軽減させることができるでしょう。
また、遺言書の作成も生命保険同様、負担軽減につながります。相続手続きでは金融機関や役所ごとに必要となる書類が異なりますが、遺言を活用して専門家等の第三者を遺言執行者に指定しておけば、必要書類の確認や提出などの手続きは遺言執行者が行ってくれます。手続きを執行者に任せる事で、スムーズに進めることができるでしょう。
相続対策は、財産の分け方や納税についてだけではなく、相続発生後の手続きの段階でいかに紛糾させないかということも重要です。相続手続きでは様々な書類が必要となり、相続人の負担も大きくなりますので、手続きの負荷軽減も考えた相続対策を考えてはいかがでしょうか。
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