FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第22回】

【第22回】認知症と相続

2016年1月21日

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第22回目のコラムは、認知症と相続に関するお話です。

認知症の患者数

2012年に厚生労働省研究班が行った調査によると、65歳以上の方のうち、認知症を患っている方の割合は推計15%で、全国に462万人いるとされています。また、同時に約400万人の方が認知症予備軍とされており、65歳以上の4人に1人が認知症患者またはその予備軍であるといわれています。認知症を発症する年齢には個人差があるものの、年齢があがると患者数は増える傾向にあります。平均寿命が年々延びている現在、誰もが自分の人生に認知症を患う可能性を考えておくべきです。

認知症を患うことによる影響

認知症を患うと様々な影響があります。ご家族とのコミュニケーションをはじめとする日常生活に影響を与えるだけでなく、金融機関とのお取引にも影響を及ぼします。金融機関では、お客様が認知症を患っているとわかったときには、ご本人だけの意思ではお取引できなくなる場合があります。ご家族や介護者に付き添っていただく必要があったり、また、成年後見制度を利用せざるを得なくなる場合もあります。

認知症を患うと相続対策も行えない

たとえば、相続争いの対策として有効とされる遺言書の作成。万が一、判断力が曖昧な状態で作成されたものだとすると、その遺言書の有効性をめぐり、遺されたご家族が争うことになってしまうかもしれません。その際、遺言書作成時点で認知症と診断されている場合には、その遺言書は無効になる可能性が高くなると考えられます。

また、第19回目のコラムでもご紹介した相続税対策として有効な死亡保険金や死亡退職金の相続税非課税枠の利用にあたっても、契約が必要であり、ご本人の意思が明確でないと、契約することはできません。

つまり、認知症を患ってしまうと相続対策は行うことができなくなってしまうのです。

配偶者が認知症になってしまうリスク

一般的に配偶者はご自身と年齢が近いことから、配偶者が認知症を患うことについても考えておく必要があります。

ご自身の相続発生時に、遺言書が作成されていないと、相続人間で遺産分割協議が必要となりますが、もし配偶者が認知症を患っていたとすると、遺産分割協議に参加することはできないため、家庭裁判所への申し立てによって選任された成年後見人が、認知症になった配偶者に代わり遺産分割協議に参加することになります。その際、成年後見人は被後見人である配偶者の財産を保全しなければならないため、通常は法定相続分どおりの財産額を要求することになります。たとえば相続人が配偶者とお子様の場合であれば、法定相続分は全財産の1/2となります。しかしながら、第4回目のコラムでもご紹介したとおり、一次相続時の財産の分け方次第で、一次相続時と二次相続時の合計相続税額は異なってくるため、一次相続時の配偶者の取り分は、法定相続分どおりがいいとは限りません。また、保有されている財産の種類によっては、分けること自体が難しいこともあり、遺産分割が複雑になってしまうことも考えられます。

やはり、配偶者が認知症になってしまうリスクも考慮して対策しておくことが大切です。

万が一に備え早めに対策を

ご自身もしくは配偶者が認知症を患ってしまうと、相続発生時にはご家族への負担が大きくなります。万が一に備え、思い立った時こそ、遺言書を作成する等相続対策を始めるときです。ご自身の思いを確実に実現するためにも、早めにできることから始めていくことをおすすめします。

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