FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第45回】

【第45回】おひとりさまの相続対策

2019年8月20日

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えいたします。第45回目のコラムは、「おひとりさまの相続対策」に関するお話です。

おひとりさまの相続の特徴

生涯を未婚で過ごす方は年々増加しており、内閣府公表の2040年における生涯未婚率(50歳時の未婚割合)の推計値は男性で29.5%、女性で18.7%とされています。お子様がいらっしゃらないご夫婦の一方が亡くなり、おひとりになられた方も含めると、今後、身近な親族がいない方の相続は増えていくことが予想され、おひとりさまの相続は珍しくない時代になろうとしています。
配偶者やお子様がいらっしゃれば、ご葬儀をはじめとする各種相続手続きや財産に関することは遺されたご家族が執り行いますが、おひとりさまの相続では、あらかじめこれらのことをご自身で準備しておかないと思わぬ事態を招くことにもなりかねません。事前に準備しておくべきことは色々とありますが、今回のコラムでは、財産に関することを中心にお話します。

所有不動産について考える

住まわれているご自宅が賃貸ではなくご自身の所有物である場合、将来どうするのかということを考える必要があります。たとえば、先祖代々引き継いできた土地ゆえにご親族に引き継がせたい方もいれば、将来は有料老人ホームで生活するのでいずれは売却を、と考える方もいます。
ご自身が将来どこでどう生活するのかにより対応も変わってくることから、終の棲家をどうするのかを考えておかなければなりません。
また、賃貸物件で家賃収入を得ている場合は引き継いでくれる方がいるのかどうか次第で売却を検討する必要もあります。

財産管理について考える

2037年には65歳以上の5人に1人の方が認知症になるという推計※1もあり、万が一認知症になってしまう可能性というのは考えておくべきことのひとつです。認知症になると日常生活に影響を及ぼすことになり、それまで問題なく行えていた財産管理についてもご自身だけでは行えなくなってしまうことが考えられます。その際に利用できるのが任意後見制度です。あらかじめ契約を結んだ後見人に、判断能力に不安を感じた等、ご自身が判断したタイミングで財産管理や介護・生活面の手配を委ねることができます。
後見人には、任せられるご親族がいればその方に、いない場合には弁護士や司法書士等の専門家と契約するのが一般的です。判断能力に問題が生じてしまってから任意後見契約を結ぶことはできない※2ことから、早めに対応しておきたいところです。

  1. ※1出典:内閣府「平成29年版高齢社会白書」
  2. ※2この場合でも成年後見制度の利用は可能ですが、後見人は家庭裁判所が選任します(ただし、後見人の推薦は可能です)

財産の承継について考える

ご両親がすでに他界していても、兄弟姉妹(亡くなられている場合は甥姪)がいればその方々が相続人にあたります。ただし、兄弟姉妹に遺留分※3はないことから、ご自身の思い通りに財産を引き継がせることは可能です。また、相続人がいないケースでは、財産は原則として国に帰属することから、財産の遺し方を考えておくことが必要です。
相続人ではないものの仲のよいご親族がいらっしゃればその方に遺すことや、社会貢献として学校法人や公益財団等に寄付することも選択肢のひとつです。そして、財産の承継にあたっては、遺言を利用することが効果的です。

  1. ※3民法によって兄弟姉妹(甥・姪)以外の法定相続人に保障された相続財産の最低限度の割合のことをいいます

万が一に備え早めに準備を

これまで築き、引き継いできた大切なご資産をどのように管理し、次世代に承継していくのかということは、すべての方が考えて対応しておくべきことではありますが、おひとりさまの相続ではより入念な準備が求められます。すぐに決められることばかりではないため、時間がかかることも想定されます。お元気なうちに時間に余裕をもって準備しておくことをおすすめします。

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