FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第50回】
【第50回】遺品の生前対策 −誰もが命の危機にさらされる今−
2020年6月30日
FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えいたします。第50回目のコラムは、「遺品の生前対策」に関するお話です。
遺品の生前対策の必要性
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、3密の回避やテレワークの推進等新しい生活様式に慣れた方も多いのではないでしょうか。一方で、連日耳にする新型コロナウイルスへの感染者数および死者数のニュースに不安を抱く人も多いことでしょう。もし自分に万が一のことがあったときの備えは万全でしょうか。パソコン内のデータ、大切に保管していた写真や手紙、SNSアカウントや書き込み等、もし自分に万が一のことがあったとき、遺された家族が対応に困らないよう生前対策を行っておくことが望ましいでしょう。
今回の新型コロナウイルスの流行は、遺品の生前対策を改めて見直す契機となっています。
遺産と遺品
遺産とは、一般的に貯金等の現金、土地等の不動産、車や貴金属、株等、金銭価値があり故人の財産とされるものです。遺産は遺産分与されるもので民法によって定められているので、遺産相続等の兼ね合いもあり個人が勝手にもらう事はできません。
一方で、遺品とは、一般的に故人が生前所有していたもので、故人が遺した全てのものを遺品と呼びます。例えば、衣類や家具・家電、雑貨、本等です。これらは親族の合意によって分ける事ができ、遺品を分ける事を形見分けと言います。遺品は金銭価値が遺産と比べると低くなる傾向にあり、遺産として分けられないものが対象となることが多いです。
また最近ではデジタル遺産・デジタル遺品の整理に困る方が増えています。デジタル遺産とは、お金にかかわるデジタル資産のことです。ネットバンクやネット証券、暗号資産(仮想通貨)等の口座のIDやパスワード等を指します。
デジタル遺品とは、故人が保有していたパソコンやスマートフォン等に保存されていたデータ、インターネット上の登録情報等の総称です。具体的には、パソコンやスマートフォンに保存されている友人の連絡先や予定表、写真やメール、SNSのアカウントなどが主なものです。
遺品をめぐるトラブル
- 親族間のトラブル
親族と言っても多種多様で、何事もなく穏やかに遺品整理が進むこともあれば、そうでない場合もあります。
揉めるポイントとしては、遺品の分配に関わることが大部分のようです。遺産分割とは異なるのでどの土地を誰が相続するという大きな話ではないものの、故人の家屋に遺された思い出の品々から金品またはそれに準ずるもの等、遺品の帰属先で揉めるケースが多いようです。 - 遺品整理業者とのトラブル
最近では遺品整理業者へ片付けを依頼するケースが増えています。専門家へ依頼することで、精神的・肉体的な負担が軽減できます。自分達だけで整理することが困難、遠方に住んでいて何度も足を運べない、遺品の価値が分からない等の悩みを解決してくれる便利なサービスです。一方で見積もり以上の高額請求や現金など金品の盗難、遺品の不法投棄などトラブルも表面化しています。
- デジタル遺品のトラブル
現在は、急速なデジタル化に伴い多くの人がパソコンやスマートフォンを利用する時代となっています。故人の友人や知人の連絡先が分からない、故人のSNSのアカウントをどうすればよいのか分からない、故人が大切にしていた写真やデータを処分してよいのか分からない等、遺された家族が困ってしまう事例が増加しています。
遺された家族のためにも生前対策を
- 生前整理
自分に万が一のことがある前に、生前から自分の身の回りの整理を心がけておきましょう。日常生活で使っているもの、思い入れや貴重な価値のあるものの処分方法や譲渡先を決めておく等具体的な 「もの」の整理 、パソコンやスマホのデータなどの 「情報」の整理 を意識するとよいでしょう。加えて自身の人生の締めくくりをどのように迎えたいか 「心」の整理をすることで自分がどのように生きたいかを改めて意識し、以前にも増してより良い日々を送ることが可能になるのではないでしょうか。
- 遺言書やエンディングノートの作成
【第43回】デジタル遺品でご家族に迷惑を掛けないためにも記載していますが、遺言書を作成することで「誰にどの財産をどのように相続させるのか」という意思を生前に明確に示すことにより、相続時のトラブル防止に役立ちます。また大切なデータやパスワードなどの情報は、分かりやすいようエンディングノートなどの紙に残しておきましょう。遺された家族が目に見えるようにしておくことが重要になります。
- 終活ソフトや追悼アカウントの設定
パソコンやスマートフォンのデータに関しては、一定期間ログインが行われないと特定のデータを消去できるツールもあります。SNSに関しては、追悼アカウントが生前に設定でき、遺族によるアカウント削除依頼も可能な場合があります。
人間には、いつ何が起こるか分かりません。現在も続く新型コロナウイルスの世界的な感染とその影響は、誰しもが改めて遺品の生前対策を見つめ直す契機となったのではないでしょうか。生前対策というと遺すべき財産ばかりが注目されますが、遺したくない財産・自分の中だけで大切にしておきたい部分にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
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