FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第52回】

【第52回】コロナ禍で相続について考える人が増えています

2020年10月30日

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えいたします。第52回目のコラムは、コロナ禍で改めて注目されている「相続手続きと遺言書」に関するお話です。

コロナ禍で相続について真剣に考える人が増えています

子々孫々挿絵

新型コロナウイルス感染症の流行により有名人が亡くなる等のニュースが報道されるようになってから半年以上経ちますが、未だ数百人の感染者が報告される等まだまだ予断を許さない状況が続いています。特に高齢者の方々は感染した場合の重症化リスクが高いことから、今回のことをきっかけに、相続について真剣に考える方が増えてきています。

相続について考えること

大きく分けると①税金(相続税)に関することと②分け方(遺産分割)に関することの二つになります。後者については、「どう分けるかは相続人同士で話し合って決めれば良い」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、それが「争族」を生む大きな要因のひとつです。これを避ける効果的な方法として「遺言」があります。そこで、今回は後者の分け方=遺言を中心に、関連する手続き面を含めてみていきたいと思います。

2020年7月10日から「自筆証書遺言保管制度」がスタート

遺言書は主に「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類がありますが、「秘密証書遺言」は作成数が少ないため、今回は割愛させていただき、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」のそれぞれのメリットとデメリットを下記の表にしました。

メリット デメリット
自筆証書遺言
  1. 本人のみで作成できる
  2. 内容はもちろん、遺言書の存在そのものを秘密にできる

    (2020年7月10日以後、法務局における保管制度を利用する場合は除く)

  1. 紛失・隠匿・改ざんのおそれあり
  2. 形式を満たさない場合、無効になる
  3. 代筆やパソコン作成等は不可

    (要件を満たした財産目録は除く)

  4. 相続発生後の検認が必要

    (2020年7月10日以後、法務局における保管制度を利用する場合は除く)

公正証書遺言
  1. 紛失・改ざんのおそれなし
  2. 遺言内容が争われたり、無効になることが少ない
  3. 自筆が困難な方でも作成可
  4. 相続発生後の検認が不要
  1. 遺言作成時に時間と手間がかかる
  2. 費用がかかる

従来、自宅等の任意のところで保管するしかなかった「自筆証書遺言」ですが、2020年7月から法務局で安価(申請時3,900円)で保管してもらえる「自筆証書遺言保管制度」がスタートしました。このことにより、今まで「自筆証書遺言」のデメリットであった①の紛失・隠匿・改ざんのリスク及び④の家庭裁判所での検認手続きという手間が解消されることになりました。また、法務局が「自筆証書遺言」の保管手続きをする際に外形的な確認も行ってくれますので、②の形式を満たさない場合、無効になるリスクも軽減されることになります。更に2021年度からはあらかじめ指定していた人に対して遺言書が保管されていることを通知するサービスも本格的に始まる予定です。そのため、今回のコロナ禍をきっかけにとりあえず手軽に作成できる「自筆証書遺言」を書いてみようと考えられている場合は、相続人の負担を減らすためにもただ単に「自筆証書遺言」を書くのではなく、「自筆証書遺言保管制度」も一緒に利用することをお勧めいたします。

それでも確実なのは「公正証書遺言」

「自筆証書遺言保管制度」では、保管手続きをする際に、署名捺印や日付等の有無などの外形的な確認は行ってくれますが、遺言書の内容の確認は行いません。そのため、せっかく遺言を作っても、内容的に適正でないために執行できないというリスクは残ります。その点、「公正証書遺言」は、公証人が遺言書作成に関与するため、記載漏れがないか、自分の意図している内容になっているか、遺留分を侵害していないか等のアドバイスを受けることも可能になります。また、「自筆証書遺言」は要件を満たした財産目録を除き、その名の通りすべて直筆で書く必要がありますが、「公正証書遺言」は公証人が遺言者の意思に基づいて文章を作成して遺言者が自署するのは氏名だけのため遺言書に誤字脱字が生じる心配もありません。そのため、相続人が争続等を起こさないために確実な遺言の執行を望まれるならやはり費用が掛かっても「公正証書遺言」での遺言書作成をお勧めいたします。

遺言執行者を指名する

遺言書を作成するだけではなく、遺言執行者を指名しておくこともお勧めいたします。相続手続きを遺言執行者に任せられるので相続人間で集まることを最小限に留めることができ、相続手続きの負担も大きく軽減されます。

コロナ禍の影響でご自宅で過ごされる時間が多い今、相続対策の一環として「遺言」をご検討してみてはいかがでしょうか。

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