FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第61回】
【第61回】預金・株式・保険・不動産 相続財産はどこに?
2022年4月28日
FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えいたします。第61回目のコラムは、相続財産の把握に関するお話です。
相続発生直後に行うこと
相続は誰もが経験することですが、本当にたくさんの手続きがあり、何から手を付ければいいのかという声も耳にします。相続発生直後に行う手続きとして死亡届を7日以内に市区町村役場に提出します。続いて健康保険・年金など公的な手続きや公共料金・クレジットカードの解約などを葬儀の準備や親族・親しい方への連絡を行いながら順次進めることになりますが、相続の完了に向けた相続財産の把握もできるだけ早めに始めることが重要です。
相続人や相続財産の把握が重要
相続発生直後の手続きを行いながら最も気になることは、遺産分割協議や相続税申告・納税のことかと思います。
これらを円滑に進めるための第一歩として重要なことの一つは戸籍謄本から相続人を確定すること、もう一つは相続財産の全容を把握することです。特に相続財産の把握ができないと遺産分割ができず財産を換金できなかったり、相続税申告の不備により税務署からの指摘を受け追徴税につながることもあるため大変重要です。
遺産分割の考え方は遺言書があれば優先され、無い場合は相続人間で遺産分割協議を行うことになりますが、協議には相続財産の把握が欠かせません。相続財産が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合は、10か月以内の相続税申告・納税が必要となり、遅延にはペナルティがあり要注意です。また、申告までに遺産分割協議が成立しないと配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が適用できず相続税で不利になる場合がありますので、期限内の遺産分割協議や早めに相続財産を把握することは大変重要なポイントです。
預金・株式・保険・不動産 相続財産はどこに?
相続財産の把握については遺言や財産目録があれば容易ですが、無い場合は大変です。では、どうやって相続財産を把握すればいいのでしょうか。まず、遺品から通帳や郵便物を探すことから始めるのが一般的かと思います。通帳があれば入出金履歴から取引金融機関、固定資産税の支払い履歴から不動産の管轄市区町村を知ることができます。金融機関や役所の郵便物から金融資産や不動産などが把握できることもありますので確認してみてください。なお、相続税申告に備えて繰越済通帳は5年程度を保管しておくことをお勧めします。最近では金融機関のインターネット取引も増えて郵便物が見つからない場合などありますが、生命保険契約と上場株式の把握については照会できる制度があり、不動産も照会制度が創設されましたのでご紹介したいと思います。
生命保険契約の有無は2021年7月1日より「生命保険契約照会制度」が創設されましたので保険証券などが無い場合は照会をご検討ください。死亡保険金には非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用されるため、相続対策として生命保険に加入しているケースがあります。せっかくご家族のために加入した保険の契約がわからずに請求漏れで保険金を受け取れない事態にならないよう注意が必要です。生命保険の死亡保険金は原則遺産分割対象外のため、相続発生直後でも受取人が単独で請求して5営業日程度で受け取れます。また、死亡保険金は請求をしないと支払われず、請求期限もありますので契約の有無については早めに調べることが肝要です。
上場株式については、紙の株券が2009年1月に無効とされ、現在は主に証券会社口座で電子的管理になっています。証券保管振替機構(ほふり)を通じて株式を預託している証券会社を照会できますので、その証券会社に残高証明書を請求することで上場株式残高の把握ができます。電子化移行の際に証券口座に預託されていなかったタンス株券は株券自体は無価値ですが、株主としての権利は信託銀行の特別口座で管理されていますので、ほふりではなく信託銀行に照会して把握することになりますので注意してください。
また、不動産も昨年「所有不動産記録証明制度」が創設されました。2026年4月までに施行となる見込みで現時点では利用できませんが、登記名義人の不動産一覧を証明書として取得することができるようになります。
ご家族が困らないように
このように保険や証券には照会制度がありますが、銀行預金には同様の制度はありません。相続財産の把握には時間がかかりますので、遺されたご家族が困らないように生前に財産の終活を行うことをお勧めします。エンディングノートに財産を記載したり、遺言書の作成も有効です。SMBC日興証券では遺言書の作成・煩雑な相続手続き・相続税申告にあたり専門家をご紹介することも可能です。相続が発生すると悲しみや喪失感が拭えず精神的な負担が大きいなかでの手続きとなりますので専門家へ相談することも選択肢の一つとしてご検討ください。
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