「追証」とは? 仕組みや事例、対応方法を解説
「追証(おいしょう)」とは「追加保証金」の略称で、委託保証金を追加で差し入れなければならない状態のことです。買い建てまたは売り建てた銘柄の含み損、担保にしている株の値下がり等によって委託保証金率が下がることにより発生します。
追証が発生する仕組み
委託保証金が最低の委託保証金維持率(以下、維持率)を割り込むと、委託保証金を追加で入金しなければなりません。これを「追証」と言います。
追証の仕組みを理解するには、委託保証金率と維持率の違いについて知っておく必要があります。まずはこの2つの「率」について解説します。
委託保証金率とは
信用取引を始めるためには、証券会社に委託保証金を担保として差し入れる必要があります。委託保証金は現金または有価証券(現物株など)で差し入れることができ、信用取引する額(約定代金)の30%以上が必要です。
このように信用取引を開始する際の、約定代金に対する委託保証金の額の割合を「委託保証金率」と言います。
委託保証金率の詳しい内容は以下のページをご確認ください。
委託保証金維持率とは
「委託保証金維持率」とは、確認した時点における約定代金に対する委託保証金の額の割合のことです。維持率は、株の値動きに影響を受けます。株価の変動で建玉が値下がりすると、発生した損失額は委託保証金から差し引かれるため、維持率も低下してしまうのです。そのため、どれくらい委託保証金として維持できているかを確認するための指標となります。
委託保証金維持率についての詳しい内容は以下のページをご覧ください。
追証が発生する状況
維持率は、①担保にしている株が値下がりしたとき、②買い建てた株(以下、買い建玉)に含み損が発生したとき、③売り建てた株(以下、売り建玉)に含み損が発生したときに下がります。
よって、維持率に余裕がある方は、①②③が起きても、追証は発生しにくいと言えます。しかし逆に、上限額ぎりぎりで信用取引を続けていると、①②③が起きたときにすぐに追証が起きてしまいやすくなるのでご注意ください。
上の図「追証になるケース」で解説します。
当初(左側)は、買い建玉の評価額が450万円、委託保証金が150万円でしたので、委託保証金率は約33.3%(=150万円÷450万円×100)でした。
ところが買い建玉が45万円値下がりする(右側)と、値下がり分が委託保証金から差し引かれるので、この状態での委託保証金の評価額は105万円(=150万円−45万円)となります。このときの維持率は約23.3%(=105万円÷450万円×100)となり、日興イージートレード信用取引の追証ライン(最低の維持率)である25%を下回るので追証が発生するのです。
- ※取引にかかる諸費用等は考慮していません
- ※追証ラインは日興イージートレード信用取引の最低維持率の場合
追証が発生した時の対応方法
維持率が追証ラインの25%を下回ると、日興イージートレードから追証が必要になったことをオンライントレード内のお客さま向けメッセージやメールでお知らせします。追証が発生した日の翌々営業日(維持率が20%を下回った場合は翌営業日)までに、追証を差し入れる必要があります。なお、日興イージートレード信用取引では、維持率が30%から25%の間の追証が発生する前に注意喚起をお知らせするメールも配信します。
追証が発生するのは25%ですが、追証を解消するためには30%にまで引き上げる必要があります。
追証の対応方法は2つあります。
1つ目は、銀行口座などから現金の差し入れです。
2つ目は建玉を返済する方法です。返済した額の30%が追証金額から差し引かれ、追証の一部または全額が解消されます。
また追証が一旦発生すると、その後の株価の上昇等により維持率が30%を上回っても、追証の解消にはなりません。保証金の差し入れによる追証発生時の維持率を30%まで引き上げることが必要となります。
期限までに解消されなかった場合
追証の解消期限は、追証が発生した日の翌々営業日(維持率が20%を下回った場合は翌営業日)です。例えば、1日の大引け時点で追証ライン25%を下回り追証の差し入れが必要になったら、翌々営業日である3日(維持率が20%を下回った場合は翌営業日である2日)が期限となります。
では期限までに追証を完了できなかった場合、どうなるのでしょうか?
追証が差し入れられなかった場合、日興イージートレード信用取引では全建玉の決済を行います。
また、追証が解消されない間は、委託保証金からお預り金への振替、保証金として差し入れた有価証券の引き出し、新規の買い建てもしくは売り建てなどは行うことができません。
追証発生を防ぐ方法
追証が発生するのは、①担保にしている株が値下がりしたとき、②買い建玉に含み損が発生したとき、③売り建玉に含み損が発生したとき―のいずれかの場合です。ただこの3つのいずれかが発生しても、最低の維持率を下回らなければ、追証は発生しません。
そこで追証を回避するためには、次の方法があります。
- レバレッジを抑える
- 保証金のうち価格変動に影響しない現金の割合を多くもっておく
- 信用二階建て投資をしない
- 自分流のロスカットルールを事前に決めておく
詳しい内容は以下のページをご確認ください。
まとめ
委託保証金維持率は30%以上必要ですが、この数字を上げることで信用取引に余裕が生まれます。また委託保証金を現物株で差し入れる場合、株価の変動によって追証リスクが高まりますので、建玉の変動チェックと併せて差し入れた現物株の株価も確認しておきましょう。追証は適切な管理をすることで防ぐことができます。
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