FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第6回】
【第6回】続財産を平等に分割できない…不動産を共有で分けた場合の問題点
2014年9月25日
FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第6回目のコラムは、不動産等を共有で相続した場合の問題点についてのお話です。
不動産の共有相続について
相続で財産を分割する場合、一般的に『自宅は長男、賃貸物件は次男、有価証券は長女…』といった具合に、各相続人が固有の財産を単独で取得しますが、分割し難い不動産(賃貸物件等)が財産の大半を占めているような場合、その不動産を一人の相続人が単独で取得すると、一人で大部分の相続財産を取得することになり、遺産分割争いが起こりやすくなってしまいます。このような場合、平等な分割に近づけるため、「とりあえず文句が出ないように兄弟姉妹で均等に分割しておこう…」などといったように、その不動産をとりあえず複数の相続人で「共有」してしまうケースがよくあります。しかしながら、不動産を安易に共有で所有してしまうと、後々、様々な課題が発生する可能性があります。
共有不動産にかかわる制限や問題
一つの不動産を複数の相続人で所有している「共有」の状態は、一人の相続人が単独で所有している場合とはまったく異なる制約を受けることになります。共有で相続した直後は共有者(相続人)の間で意思決定に特段問題なかったとしても、数年経つと、各共有者の状況にも変化が生じてきます。
例えば、1棟アパートを相続人間で共有した場合、その不動産を売却したくなっても共有者全員の同意がないと単独で売却することはできません。また、アパート経営における入居者の選定や賃料の設定、修繕・補修、空室対策、管理方法の決定などについても共有者全員の同意がないと単独では決めることができません。特に空室対策の方向性が定まらずに空室が増えてしまうと、空室部分に対する相続税評価は賃貸部分の評価と比べて割高になってしまいます。つまり、相続税にも影響が及んでしまうということです。
共有不動産の解消について
既に兄弟間等で不動産を共有で分けたものの、いろいろと問題が出てきたので共有をやめたい場合、共有を解消する方法がいくつかあります。一つは共有不動産を物理的に分割してしまう方法です。一つの土地に“分筆”という手続きをとって複数の土地に分けてしまいます。分割した複数の土地を共有者がそれぞれ単独で取得することで共有関係は解消されます。ただし、この方法では、狭くなってしまった土地の活用方法が限定されてしまったり、形状によっては利用価値が高い土地と低い土地に分かれてしまったりすることがありますので、平等に分割することが難しくなってしまうことも考えられます。二つ目の方法は、分筆などで分割することが難しい場合に、一人の共有持分を、もう一人の共有者に金銭をもって買い取ってもらう方法です。ただし、この方法では相応の金銭を用意する必要があります。3つ目の方法は、共有不動産を売却して金銭で分割するという方法です。
いずれにしても共有関係を解消するために、どのような方法で共有関係を解消するか、各共有者が何を取得するか等を協議(共有分割協議)する必要があります。
不動産の共有回避について
不動産等を相続人間で共有にしてしまうと、各共有者は勝手に共有不動産を処分したり、活用することなどができなくなります。一つ間違うとトラブルに発展してしまう可能性もありますので不動産の共有という形態は、なるべく避けた方が賢明です。
共有を避ける対策としては、不動産を単独所有にすることを遺言書にきちんと遺すことです。しかし、資産価値の高い不動産を一人の相続人が相続してしまうと、どうしても不平等な配分になってしまいますので、遺言書に不動産を取得する相続人が、その他の相続人に対して代償金を支払うことまで記載します。その代償金は生命保険(契約者・被保険者=被相続人、死亡保険金受取人=不動産を相続する相続人)で準備してあげれば資金面での課題も解消できます。
いずれにしても、遺産分割や安易な共有相続によって相続人間でトラブルが起きないように、のこす側としてしっかりとした準備をすることが重要になってきます。
(ご参考)
法定相続分や遺留分を計算する場合、死亡保険金は極端に高額でなければ、原則、計算対象から除外されます。すなわち、計算の基礎となる金額が少なくなる分、遺留分も少なくなるため、遺留分の減殺請求等が回避できるという効果が期待できるわけです。
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