FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第73回】
【第73回】ご家族が集まる機会に相続の話をしてみませんか?
2024年7月30日
FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えいたします。第73回目のコラムは、これから迎える夏休み、お盆休みにご家族と相続の話をすることで将来に向けた様々な課題について検討することができるということについてご紹介いたします。
はじめに
相続税は2015年より課税強化され、国税庁が公表した2021年度のデータでは、課税対象者は5.6万人から13.4万人の2.4倍、課税割合は4.4%から9.3%の2.1倍に増加しています。一方、国税庁が7月に発表した2024年1月1日時点路線価は、全国平均で前年比2.3%の上昇で伸び率は前年から0.8ポイント拡大、コロナ禍も含む比較可能な2010年以降で最も高くなりました。上昇した都道府県数は、前年の25より4増え、29都道府県となりました。インバウンドの増加、各地で進む再開発が地価を押し上げているそうです。他方、株式市場も堅調に推移しています。米国株は一時期の下落から急回復、再び史上最高値近辺で推移、日経平均株価も今年34年ぶりに史上最高値を更新しました。為替も大幅な円安状況が継続し、株高、円安効果による資産価額の上昇も一段と鮮明となっております。資産額が増えることはとても喜ばしいことですが、資産額が増えるとなれば相続税も増えることになります。この機会に資産額などの現状把握を行ない、これから迎える夏休み、お盆休みにご家族と相続のお話をしてみませんか?
今回はご家族と相続の話をすることで将来に向けた様々な課題について検討することができるというお話です。
ご家族で相続の話をするのは気まずい?
ご家族で相続の話をすることは、なかなか気まずいと思われる方も多いと思います。実際にそのようなお声を伺うこともあります。一方で大切な家族になるべく迷惑をかけたくないと考えておられる方も多いのではないでしょうか。実際、相続税の影響を受けるのは、主にお子様達ですのでご家族で話し合うことは大変重要なことであると考えます。相続は資産額に関係なくどの家庭にも起こります。そして、それがいつなのか予測できないため、実際に相続発生となったときに慌てないように予め準備をしておくことが重要です。その準備としてご家族で相続について話し合うことがとても大切になります。
どのようなことを話し合うことが大切か
それでは、どのようなことを話し合うことが大切なのでしょうか。主なところとしては、『財産のこと』、『分け方のこと』、『税金のこと』について話し合うことで将来に向けた様々な課題について検討することができます。
『財産のこと』を話すことで資産把握が可能となり、将来相続が発生した際に相続手続き、相続税申告をスムーズに行えます。複数の金融機関とお取引があったり、複数の不動産を所有している場合、資産額の把握に相当な時間と労力を要します。また『分け方のこと』を話すことで引き継ぎたくない資産の相続(ミスマッチ)、争族リスクが軽減されます。『税金のこと』を話すことでどのくらいの相続税がかかるのか、どうやって納めるのか、他の税金(所得税)などもかかるのかなどを考えることが出来、生前贈与などを活用した相続準備についてご家族で検討することができます。
相続には主に三つの課題が存在する
相続における主な課題は三つあります。『遺産分割』、『納税資金の準備』、『相続税の軽減』です。
『遺産分割』についてですが、相続人が複数いれば誰がどの資産を引き継ぐかで揉め事となる可能性があります。揉め事が発生すれば、申告の遅れが想定され、様々な税制優遇が適用できず相続税の支払いにも影響が出る可能性があります。遺産分割が調わないと換金も困難となります。『納税資金不足』については、相続税は十カ月以内に現金一括納付が原則であり、換金しにくい資産が多いと納税資金が不足してしまいます。『相続税の軽減』については、前述の通り、基礎控除の引き下げにより相続税の課税対象者は近年大幅に増え相続税の最高税率は引き上げになり、相続税の税率構造も見直されました。
ご家族でお話することで課題が共有されたら対策を検討してみましょう
ご家族で相続の話をすることで課題が共有されましたら、対策を検討してみてはいかがでしょうか。
例えば、主に遺言を活用した遺産分割対策や生前贈与や生命保険を活用した対策もあります。遺言は法律に従って自分の想い通りの財産処分が可能で原則、遺産分割協議は不要になり、相続人間の揉め事を防ぐ効果があります。また生前贈与や生命保険を活用することで、納税資金の準備や、相続税軽減効果も期待できます。
最後に改めて
少々、専門的な話が続きましたが、まずは、ご家族で相続について話し合い、現状把握をするところから始めていただくだけでも大きな一歩であります。これから迎える夏休み、お盆休みが良い機会となればと考えます。
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