FX初心者におすすめする通貨ペア「通貨の特徴と正しい選び方」
FX口座を開設し、いざ取引を始めようと思うと気になるのは、「どの通貨ペアを選べばいいのかわからない」という疑問です。
通貨ペアは10〜20通貨前後を取り扱っている会社が多いですが、その中からどのような基準で取引する通貨ペアを選んでいけば良いのでしょうか?
今回はそうした疑問の答えとして、「そもそも通貨ペアとは何か?」「FX初心者はどの通貨ペアを選ぶのが正解か?」などについて解説していきます。
通貨ペアとは
通貨ペアとは、取引を行う2ヵ国の通貨の組み合わせのことです。
FXは2つの異なる国の通貨を売買し、利益・損失が生じる取引なので、「米ドルだけを買う」「円だけを売る」のではなく、「米ドル/円を買う」「米ドル/円を売る」といったように、通貨がペアになった考え方をします。
ちなみに、「米ドル/円を買う」という表現は、米ドルを買って円を売るという意味であり、反対の「米ドル/円を売る」とは米ドルを売って円を買うという意味です。
この記事の本題である通貨ペアの選び方をお伝えする前に、通貨ペアにまつわる用語について簡単に説明します。
基軸通貨と決済通貨
FX口座を開設すると、取引画面では「USD/JPY」(米ドル/円)や「EUR/USD」(ユーロ/米ドル)など色々な通貨ペアが表示されています。
左側に記載されている通貨を「基軸通貨」、右側を「決済通貨」と呼びます。USD/JPYの場合は、基軸通貨が米ドル、決済通貨が円です。
メジャー通貨とマイナー通貨
メジャー通貨 | マイナー通貨 |
---|---|
米ドル | トルコリラ |
ユーロ | 南アフリカランド |
日本円 | ブラジルレアル |
英国ポンド | メキシコペソ |
スイスフラン | 人民元 |
豪ドル | 香港ドル |
カナダドル | シンガポールドル |
メジャー通貨とは、米ドル・ユーロ・日本円など表の左に記載されている通貨であり、それら以外はマイナー通貨と呼ばれています。
主な違いは、メジャー通貨は取引量が多く流動性が高いのでスプレッドの幅が狭くなる傾向にあり、対してマイナー通貨は取引量が少なく流動性が低いのでスプレッドの幅が広くなる傾向があることです。
取引コストを抑えたいならばメジャー通貨で取引することをおすすめします。
ストレート通貨とクロス通貨
「ストレート通貨」とは、米ドルと取引をする通貨ペアであり、「ドルストレート」とも呼ばれています。
これに対して「クロス通貨」とは、米ドルが含まれない通貨ペアのことを指します。ストレート通貨との違いは、米ドルを介して(クロスして)取引が行われている点です。
例えば、豪ドル/円の場合、豪ドルと円を直接取引するのではなく「円を売って米ドルを買い、米ドルを売って豪ドルを買う」と米ドルを介して取引が行われています。
FX初心者におすすめな通貨ペアの選び方
FXでは「この通貨ペアが一番稼げる」と断言することはできません。
なじみのある国・通貨であれば、複数の情報源から社会情勢などを知ることができ、それが取引に役立ちます。
反対に、マイナーな通貨は情報を取得しにくいので、予想外の値動きに翻弄されやすくなる可能性があります。そのため、FX初心者の場合は避けたほうが良いでしょう。
メジャーな通貨ペアにも種類がありますが、最初に選ぶ通貨ペアとしておすすめしたいのは、次のような特徴をもったペアです。
- 取引量が多い
- 適度なボラティリティがある
- スプレッドが狭い
大前提:通貨ペアを少数に絞る
それぞれの項目について解説していく前にFXを初めたての段階で、知っておきたいポイントがあります。それは、「取引する通貨ペアを少数に絞る」ことです。
1つの通貨ペアで勝てない状況で、色々な通貨ペアで取引をしても良い結果は出ません。まずは、少数の通貨ペアで勝率を上げた後に他の通貨ペアにも挑戦していく方がいいでしょう。
取引量が多い通貨ペアを選ぶ
通貨ペア | 直近1年 | シェア | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 |
---|---|---|---|---|---|---|
年間計 | 年間計 | 年間計 | 年間計 | |||
米ドル/円 | 293,926,456 | 58.47% | 3,856,473,281 | 4,254,130,400 | 2,444,564,815 | 3,070,692,478 |
英国ポンド/円 | 62,162,484 | 12.37% | 793,199,735 | 925,411,315 | 403,015,862 | 288,349,088 |
豪ドル/円 | 40,182,925 | 7.99% | 497,550,250 | 406,104,918 | 214,849,309 | 146,148,592 |
ユーロ/米ドル | 36,940,754 | 7.35% | 404,527,886 | 549,537,360 | 358,142,238 | 179,827,800 |
ユーロ/円 | 30,144,656 | 6.00% | 362,750,420 | 599,904,863 | 394,894,524 | 180,651,750 |
英国ポンド/米ドル | 5,368,829 | 4.27% | 231,648,646 | 170,875,916 | 73,403,808 | 43,766,985 |
豪ドル/米ドル | 293,926,456 | 1.07% | 55,709,358 | 29,127,800 | 16,646,935 | 12,479,351 |
英国ポンド/豪ドル | 2,583,376 | 0.51% | 32,540,605 | 20,296,156 | 5,852,662 | 4,772,243 |
NZドル/米ドル | 2,386,625 | 0.47% | 30,469,226 | 46,900,578 | 25,011,732 | 19,978,459 |
メキシコペソ/円 | 1,667,271 | 0.33% | 20,176,203 | 3,782,874 | 1,159,285 | 152,217 |
- ※SMBC日興証券にて、各種データをもとに直近1年の取引金額が多い10通貨ペアを集計
上の表は、直近1年の取引量(金額)が多いといわれる通貨ペアの一覧です(「流動性の高い通貨ペア」もいいます)。
取引量が多い通貨ペアは、多くの人が注目しているため、チャートの値動きが安定していて取引をする際の特徴をつかみやすいといえます。また、何か突発的な事件が起こったときに、急激に変動するリスクも低いため、最初にFX取引をする際には手を付けやすいペアだといえます。
適度なボラティリティ(変動率)があること
ボラティリティとは、「値動きがある」という意味です。値動きがほとんどない通貨ペアでは、取引によって利益を出すことは難しいので、ある程度ボラティリティがある通貨ペアを選ぶことをおすすめします。
ただし注意しておきたいのは、ボラティリティが高い方が利益を出しやすいものの、同時にあっという間に損失が出てしまう可能性もあるということです。
基準値としてはボラティリティが安定しているといわれているユーロ/米ドルや、豪ドル/円を基準として「この通貨ペアはボラティリティが高い・低い」と判断するとよいでしょう。
スプレッドが狭い(小さい)通貨ペアを選ぶ
FXでは通貨ペアを売るときの値段(Bid)と買う時の値段(Ask)に差があります。この差額を「スプレッド」といいます。
この差額はお客さまにとってコストとなりますので、利益を出すためにはスプレッドが狭い通貨ペアを選ぶことが大切です。
また、スプレッドは常に一定ではなく、変動します。例をあげると「相場が急激に動いている」「経済指標が発表された」「世界的なニュースがあった」といったタイミングに大きく変動します。
そのため、自分にとって馴染みがあって情報を入手しやすい国の通貨を選ぶことで、こうした変化が捉えやすくなります。
FX初心者におすすめする通貨ペア3選
ここまで紹介した選び方を踏まえて、FX初心者におすすめする通貨ペアを3つご紹介します。
米ドル/円
取引金額:1位
ボラティリティ: 0.54%(1日の変動率)
これからFXを始める人にとって、一番取引しやすいといえる通貨ペアは米ドル/円です。
日本とアメリカの情報は入手しやすく、欧州通貨(ユーロやポンドなど)と比べて値動きが緩慢なものの適度なボラティリティもあり、取引量も多いため初心者におすすめです。また、アジア時間(日本などアジアの国で太陽が出ている時間)だけではなく、欧州・米国時間にも活発に売買されているので好きな時間帯で取引を行いやすいという特徴もあります。
ユーロ/米ドル
取引金額:4位
ボラティリティ: 0.66%(1日の変動率)
直近1年間の取引金額は4番目、非対円取引では1番の取引金額の通貨ペアであり、アジア時間は緩やかな値動きですが、欧州時間にかけて値動きが活発になってきます。
また、一度トレンドができると、それが持続傾向にあるのも特徴です。ユーロ圏と米国の金融政策や経済動向に敏感な方には特におすすめです。
ユーロ/円
取引金額:5位
ボラティリティ: 0.64%(1日の変動率)
クロス通貨の中でおすすめなのがユーロ/円です。
比較的トレンドが出やすく、変則的な動きが少ないのが特徴です。また、取引金額も多いためスプレッドが狭いのですが、ボラティリティはやや低めです。
米ドル/円以外で円が含まれている通貨ペアを探している方にはとてもおすすめです。
その他のメジャー通貨の特徴
米ドル・ユーロ・円以外のメジャー通貨の特徴についても簡単に紹介します。
英国ポンドの特徴
実は大英帝国時代から第二次世界大戦直後までは世界の基軸通貨(ここでいう「基軸通貨」は国際通貨の中でも中心的な地位を占める通貨を表します。)であった英国ポンド。
対円では直近一年の取引金額が2番目に多い通貨でもあります。ボラティリティが高くハイリスクハイリターンという特徴があります。
スイスフランの特徴
1815年にウィーン会議で国際法上初めて永世中立を承認された、政治的に中立な国であるスイス。スイスフランは、安全通貨(避難通貨)とみられ有事の際に一時的に買われることが多いです。金利が低く、平常時にはユーロと同じ様な動きをします。
豪ドルの特徴
対円取引では直近一年の取引金額が3番目である豪ドル。
以前は高金利通貨としての人気がありましたが、現在ではコロナショックによりゼロ金利近辺まで利下げ。
また、資源国通貨でもあり、資源の輸出割合は中国がトップとなるため、中国の経済指標も注目しましょう。
カナダドルの特徴
カナダは隣国である米国との関係が強く、カナダドルは米ドルと似た動きをします。
また、カナダドルは資源国通貨でもあり、原油価格の影響を受けやすいという特徴もあります。
参考:最初はおすすめできない通貨
参考として、FXに慣れていない人にはあまりおすすめできない通貨についても触れておきます。
トルコリラ
金利が高く、国際情勢などの面から米ドルやユーロなどと比較すると不安定な値動きをしやすいのがトルコリラです。また、流動性も米ドルやユーロよりも低く、その点でリスクもあります。取引をする際は、ボラティリティの高さだけでなくこうした側面についても理解しておくとよいでしょう。
南アフリカランド
トルコリラ同様にボラティリティの高い通貨が南アフリカランドです。成長国ではありますが、国内の高い失業率など、恒常的に値下がり要因があるのも事実です。
まとめ
FX初心者の方は、まずメジャー通貨で、かつストレート通貨を選ぶことをおすすめします。
最初は右も左もわからない状態からのスタートなので、リスクが少ない通貨ペアを選び、徐々に取引に慣れていくためです。
また、最初から複数の通貨ペアで取引をするのではなく、少数の通貨ペアに絞り、勝率を上げていきましょう。
おすすめ通貨ペアの選び方は、取引量が多く・適度なボラティリティがあり・スプレッドが狭い通貨ペアで、その国の情勢についても調べやすいものが良いでしょう。
以上を踏まえ、FX初心者におすすめする通貨ペアは、「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」「ユーロ/円」です。是非参考にしてみてください。
- ※記事内の記述については2021年3月末日時点の為替レート、スプレッド等の情報をもとにしております。実際の取引を行う際は、最新の為替レート、スプレッド等を必ずご確認ください。
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