逆日歩の「満額」とは?

逆日歩(ぎゃくひぶ)の満額とは、証券金融会社において発生していた株不足が、貸株の返済などによって解消した状態のことです。満額になると、信用取引の売り方(空売りしている人)が負担すべき逆日歩は生じません。
証券金融会社は、貸し出せる株が不足する(貸株超過状態になる)と、信用買いの増加のための「融資の追加申込」と空売りの残高減少のための「貸株の返済申込」を受け付けます。これにより株不足が解消できれば、株式調達コストをかけずに融資残と貸株残が一致するので逆日歩が発生しなくなるのです。
満額とは別に「零銭」が起きても逆日歩は発生しないのですが、満額と零銭は異なる状態です。満額の意味や零銭との違いについて説明します。

逆日歩の「満額」の意味

信用売り残高が信用買い残高を上回ると、証券金融会社(株式の貸方)は貸し出せる株が不足してしまうため、機関投資家などから株を借ります。株を借りるときのコストを逆日歩といい、売り方が負担することになっています。

逆日歩の仕組みの説明図

証券金融会社は、営業日の夕方に株不足が判明すると、翌営業日の10時までに融資の追加申込と貸株の返済申込を受け付けます。これで株不足が解消すると満額になります。

逆日歩の「満額」の説明図

貸株の返済申込などを受け付けても株不足が解消しないと、証券金融会社は株式を調達するため「品貸し」の申し込みを受け付ける「入札」を実施します。証券金融会社は入札条件の低いほうから株不足が解消するまで株式の調達を行います。このときの株式調達コストを品貸料といい、これが逆日歩なのです。これで株不足は解消しますが、入札を実施したときは「満額」とは呼びません。
入札でも株不足が解消しないと特別品貸料率を適用して再入札を行います。

「満額」と「零銭」との違い

株不足が発生し、その後の調整によって株不足が解消して逆日歩がなくなる点では、満額も零銭も同じです。ただ「零銭」が生じたときは入札が行われている点で異なります。
零銭とは、証券金融会社が行う入札において、応札者が無料(0銭)で応札することで株不足が完了することです。この場合、株式調達コスト(品貸料)がかからないので、逆日歩が0円になります。つまり逆日歩が生じないのです。

まとめ

満額とは入札前の株不足の解消であり、零銭とは入札を実施したものの株式調達コストがかからなかった状態のことです。いずれも逆日歩を生じさせず、株不足が解消します。

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